政治-5 文明の衝突

政治-5 文明の衝突

(世界の政治思想50の名著 ボードンから)

1990年東西ドイツ統一、1991年ロシア共和国成立、ソ連邦崩壊、冷戦終了後の1993年、アメリカハーバード大のハンチントン教授は、「クラッシュ オブ シビライゼイション 文明の衝突」という論文を発表した。

リベラル(自由)な民主主義と西欧価値観の勝利と見えたその頃、欧米が勝手に決めた冷戦が消滅した後は、古い文化的、民族的、宗教的断層が再び姿を現し、新しい秩序は文化・民族・宗教の上に成り立つと予言した。さらに、西欧のリベラル民主主義の価値観主張は、イスラム諸国や中国との衝突を引き起こすとした。世界各国は、近代化を受け入れるが、西欧の価値観は拒むと予想する。世界の平和は、各文明がそれぞれの領域内に持つ支配権を、他の文明が承認し、尊重し、協力することで保たれるとした。

世界情勢は、8つの文明によって形作られる。①中国②日本③ヒンズー④イスラム⑤正教会⑥西欧⑦ラテンアメリカ⑧アフリカである。21世紀を支配するのは、6つの勢力と考える。①アメリカ②中国③ヨーロッパ④日本⑤ロシア⑥インドである。イスラムは影響力を増す。アフリカは貧困と分裂に苦しめられる。この中で、地域の中核国となるのは、アメリカ、中国、ヨーロッパ、ロシアの4カ国を予想する。

西欧社会の特徴は、信仰と政治の分離、法による支配、社会的多元性、代議制・民主主義体制、個人主義である。これらの特徴は、非西欧諸国では拒絶されている。

現代の特筆すべき現象は、アジアの、特に中国の経済成長である。アジアの抱える最大の火種は、アメリカがこの地域で、中国の支配の拡大を阻止しようとするか否かである。日本と韓国以外は、アジア経済は基本的に、中国人華僑の経済である。アジアで紛争が起きるとすれば、国境と領有権争いである。単一の世界共同体になるには、8つの文明圏に暮らす人々がそれぞれの相違を考慮し、共通点に目を向けねばならないとしている。

<6つの勢力の2017年国力>

アメリカ  GDP1900兆円 1人当GDP570万円 人口3億人 軍事費60兆円

中国       1100兆円       80万円    14億人    20兆円

ヨーロッパ    1200兆円      400万円     3億人    18兆円

日本        500兆円      400万円     1.2億人   5兆円

ロシア       130兆円       90万円     1.4億人   7兆円

インド        220兆円       20万円     13億人   6兆円